DX戦略の進捗報告 Vol.13
2026.10.23
定期配信
~AIが「カイゼン」の日常に入り始めた~
代表取締役の石川春です。
前回は、生成AIの急速な進化を背景に、DXの先にある「AX(AI Transformation)」について取り上げました。
それから、私たち自身もAIを実際の仕事の中で使いながら、様々な試行を重ねています。
この数か月で感じているのは、AIが「使ってみるもの」から、「自分たちの仕事をより良くするもの」へと少しずつ変わり始めていることです。
今回は、前回報告から現在までの3か月間の取り組みを中心に、当社のDX・AXの現在地をご報告します。
■ AXという道筋
当社では現在、AI活用を広げていく道筋として、東京大学大学院の松尾豊教授が提唱する「AX5ステップ」という、企業のAI変革(AX=AI Transformation)の成熟度モデルの考え方を参考にしています。
生成AIを利用する環境を整える「AX1」、社内データとAIをつなぐ「AX2」、AIを前提に業務プロセスを見直す「AX3」。その先に、独自AIや、より高度なAIの活用があります。
ただし、AX1が終わればAX2、そしてAX3へ、という一本道ではありません。
社内でも取り組みの段階は様々ですし、AIそのものも日々進化しています。
使ってみる。つないでみる。仕事の流れを見直してみる。そして、また試す。
こうした行き来を繰り返しながら、少しずつ活用の幅を広げています。
■ 「使える」から「自分たちでつくる」へ
まず大切にしているのは、AIを単に導入することではなく、正しく、安全に、そして自分たちの仕事に活かせる環境をつくることです。
現在、ChatAIやCopilotの利用環境を整えるとともに、ルールやガイドラインの整備、学習内容の共有、Teamsを活用した情報共有などを進めています。
そして、その環境を使って、「この仕事にAIを使えないだろうか」「ここを、もっと良くできないだろうか」と、社員自身が考え、試す動きも始まっています。
会社がAIを用意して終わりではありません。業務を一番よく知っている人が、自らAIを使って仕事を変えていく。
そこに大きな意味があると考えています。
■ 社内の知識とAIをつなぐ
その一例が、業務のルールブックを参照して質問に答える、いわば「物知りボット」です。
特徴は、ITの専門家だけがつくっているのではないことです。
日々その業務に携わり、どのような質問があり、どの情報が必要なのかを知っている社員が、自らの業務知識を活かしてAIをつくり、日常業務で使っています。
AI時代だからこそ、長年培ってきた業務知識や現場感覚の価値は、むしろ大きくなっていく。そんな可能性を感じています。
■ AIを「仕事の流れ」の中へ
さらに、AI単体の活用から、仕事の流れそのものにAIを組み込む試みも進めています。
例えば、メールの内容を判別し、要点を整理してTeamsへ通知する取り組みです。AIに質問して回答を得るだけではなく、必要な情報を必要な人へ届ける一連の流れの中でAIを活用する試みです。
また、既存の業務アプリの構造や処理をAIで解析・整理し、設計書や解説書の作成を支援する取り組みも行っています。これまで蓄積してきた既存資産を理解し、今後の保守や見直しにつなげることを狙ったものです。
その他にも、顧客推進テーマの分析など、実際の業務を題材にしながらAIの使いどころを探っています。
■ カイゼンに、AIという新しい道具を
こうした取り組みを振り返ってみると、私たちはまったく新しいことを始めたというよりも、これまで取り組んできた「カイゼン」に、AIという新しい道具が加わったと捉える方が自然です。
現場の困りごとに気づく。
より良いやり方を考える。
まず、試してみる。
そして、結果を見ながらまた見直す。
これは、私たちがこれまで大切にしてきたカイゼンそのものです。
だからこそ、AI活用の目的は「AIを使うこと」ではありません。
AIを使って、仕事をどう良くするか。
その先のお客様への価値を、どう高めていくか。
そこまでを追求していきます。
■ つくり、試し、カイゼンする
これからは、試作したものを日常業務へどう定着させていくのか、人とAIがそれぞれ何を担うのか。
さらにデータの整備・更新、体制、権限、コストなど、考えていかなければならないテーマもあります。
もちろん、最初から完成形が見えているわけではありません。
だからこそ、つくる。試す。カイゼンする。
DXもAXも、「完成させること」が目的ではありません。
技術の進化に振り回されるのではなく、「何のために変えるのか」という目的を持ち、自ら変化をつくり続けること。
これからも私たちは、人の知恵や経験とAIの力を掛け合わせながら、より良い仕事、そして新しい価値を生み出すためのカイゼンを、一歩一歩積み重ねてまいります。

